半値戻しは、全戻しどころじゃなかった
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は、2月14日13時時点では対円で745万円前後と前週(7日前)から約112万円も高い水準での取引されています。上昇率でいうと17%超とかなりの上げ幅です。
先週半ば、1月下落幅(715万円から572万円)の半値戻し643.5万円を超えたところで伸び悩んでいたのがウソのようです。7日夜の時点で660万円台乗せ、9日午前で700万円台を回復し、午後には全戻しを達成しました。
上昇は一旦止むも下値は堅く、日足で9連騰となった13日には750万円と2021年11月以来の高値を記録しました。こうなると同月に記録した過去最高値779万円台が完全に視野に入っています。
※Trading Viewより
ETF 資金流入が止まらない
大幅上昇の大きな要因の1つはやはり、米国で上場が承認された現物ビットコインETFへの資金流入が止まらないことでしょう。どの程度の増え方なのかを暗号資産分析サイトcoinglassのビットコインETFのデータをチェックしてみます。
月初のAUM(Assets under management、運用資産残高)が283.4億ドルだったところから、13日時点では320.7億ドルと約2週間で13%拡大しました。1ドルを150円で計算するとこの期間の増加額は約5600億円、運用総額が4.8兆円にも達しています。
ここ1週間では、資産運用最大手ブラックロックのiShares Bitcoin Trustがビットコインの保有量を1万3100BTC以上増やし、同じく大手フェデリティのFidelity Wise Origin Bitcoin Fundも約1万4500BTC拡大しました。
↓のオレンジ枠内。
マイクロストラテジーも抜いた!
最大の現物ビットコインETFは、暗号資産運用会社グレースケール・インベストメンツが運用しているファンド「Grayscale Bitcoin Trust(以下GBTC)」です。しかしながら第80回「ビットコイン、高値から2割下落・・・」などで触れているように、GBTCは現物ETFに転換後に流出超となっています。
GBTC以外で新たに立ち上げられた残り9つの現物ビットコインETFの保有量について、こういった記事がありました。
「These Spot Bitcoin ETFs Surpass MicroStrategy’s BTC Holdings」CryptoPotato
対象のETFにおけるBTC総保有量は、スタートからわずか20日程度で、米企業では最もビットコイン掻き集めているマイクロストラテジーを抜いたというのです。
記事によれば、11日時点で9つのETFは21万6309BTCまで積み上げました。こちら6日時点ではありますが、マイクロストラテジーが保有している19万BTCを優に超えています。
※マイクロストラテジーのBTC購入ヒストリーはこちら→ 「MicroStrategy Bitcoin Holdings Chart & Purchase History
こちらが記事の元となったXの投稿です。
「ビットコインETFの需要は供給の10倍:マイケル・セイラー氏」コインデスク
マイクロストラテジーの共同創設者であり、ビットコイン信奉者で有名なマイケル・セイラー氏もETF需要の強さを認めています。
BTCを保有しているわけではないが・・・
『ビットコインETFでは、ビットコインは決して「あなたのもの」にはならない』コインデスク
タイトルから「確かにそうだな~」と思わされた記事です。
暗号資産のハードウェアウォレットを手がけるレジャー(Ledger)の会長兼CEOの投稿というのも興味深いところです。
※ハードウェアウォレットについては、第8回「ディフェンスは重要、保管の方法は?」で簡単ですが説明しています。
ビットコインの魅力として、政府や中央銀行など中央集権的なものに束縛されないこと、決済手数料が安く、誰にでも何時でも少額から送金できるなどがありました。
それがETFではBTCを証券として取り扱っており、「仮想通貨」の役割はまったく果たせてません(今でもそう呼ぶ人はいますが)。
レジャーのCEOも投稿記事の最後のほうで「ビットコインETFはまやかしの一種」と述べています。しかしながらETFは非常に現実的であり、暗号資産の真の所有権と主権を約束するための足がかりとして利用すべき、との見解を示していました。
現実的なもの「現物ビットコインETF」の勢いは暫く止まりそうにありません。日本からは購入できませんが、今後もETF動向には注視する必要があるでしょう。